ポンコツ

ポンコツをずっと作ってきた。


ちゃんとした設計図もないのに、
飛行機を作ると言う。
だから
部品を集めて、
完成図を一生懸命想像して、考えて、
なんとなく飛行機っぽいものを作る。
それはポンコツ飛行機だ。
出来上がって、
「こんな飛行機のことを言っていたんじゃない」
と言われ、ぐちゃっと潰されることもあれば、
「とりあえずこれで飛ばしてみるか」
と言われて納品することもある。
納品した後も、
ちゃんと飛ぶんだろうか、
エンジンから火が出たりしないだろうか、
と心配する。


そんなポンコツ
ずっと作ってきた。


そんなポンコツを作ることに対する違和感は
だんだん薄れていき、
ポンコツを作ることに慣れていく。


だけど。


私は決めた。
もうポンコツなんか、作らない。
設計図のない工場では
もう働かない。


私は、
美しく華麗に飛ぶ飛行機を作る。
あの、
離陸する時の躍動感に溢れた、
素晴らしい飛行機しか、
もう作らない。