ざわざわと

晴れの日。
また海に行った。


今日は、干潮の時刻をチェックして、
1時間前に家を出た。
張り切りすぎ。


着いたら、潮は引いていた。

ざわざわ、ざわざわ。
浅瀬に漂う波。

降り注ぐ太陽。


ああ、生きていてよかった。


ずっと前に見た、光景。
今日のように風は強くなくて、
もっと引き潮で、
浅瀬に穏やかな波がいて、
さらさら、さらさらと
音を立てていた。
私はあの光景を忘れない。


そして今日のこの光景も、
忘れないだろう。


流れ出る海の水。

吹き飛ばされる砂。
むき出しになった石。


横切る飛行機。

曇りかけた空の隙間から、
海に舞い降りる、光。

そしてだんだん、
赤く染まっていく風景。

サヨナラを告げて、
帰り道、
太陽がまた顔を出していた。