わたしを素に戻らせてくれる存在

今までに手に入れられていないものに考えが及ぶと、急に自分の人生が取るに足らないもののように思えてくる。

何者にもなっていない自分が、恥ずべき存在のように感じる。

 

毎日、毎時間、帰りたいと思いながら過ごして、定時が来て開放され、電車を降りて街を通り過ぎ、トボトボと歩いていると、道端に咲いている花がすうっと美しく佇んでいるのが目に入ってきたり、うっすらと白い雲がかかった青空なんかが見えたりする。

 

その瞬間、心がふわっとなる。

ああ、この地球はやっぱりこんなに美しくて素晴らしくて、それを感じられるだけで幸せなのかもしれない、と思う。

 

花が美しい、空が青い、鳥が明るく囀っている、爽やかな風が吹いている。

それは自分が所有しているものではなく、追いかけるものでも求めるものでもない。

ただそこに存在しているだけで、幸せを感じられるもの。

ああ、地球に生まれてきてよかったな、と思うもの。

 

そしてその尊さを思う。

誰かを喜ばせようと懸命になるでもなく、注目を得ようと主張するでもなく(多分、鳥の場合は仲間の注目を得ようとしているけど)、ただあるがままに自然に存在することが、美しいということ。

そしてそれが誰かの小さな幸せになる。

 

だから自然には勝てない。

自然は大先輩であり師匠だ。

小さな幸せを届けると共に、素に戻らせてくれる。

 

花のように、鳥のように生きよう。

青い空の下、風に吹かれながら。

 

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写真はだいぶ前のマウナケア。