白髪を抜く

暇な時間があると、白髪を探してしまう。
枝毛探しと同じ感じの、どーでもいい時間潰し。


幸いにも、白髪は少ない。
ふと見つけることはあっても、普段はあまり気にしていない。
久しぶりに探してみたら、見えにくい後ろ側にあった。
今回の収穫は、5本。
そのうち1本は30センチ近くあったから、かなり長いこと生えていたことになる。


真っ白な髪、って、なんというか珍しくて不思議で、それが長かったりすると、おおーーーっ、みたいな、なんだか貴重なものを見つけたような気分になる。
それが何本か集まると、ちょっとしたコレクションのような・・・
って、わたし、変わってるんでしょうか?


まぁ、しばらく眺めて、捨てるんですけどね。


そしてふと思った。
なぜわたしは白髪を抜くんだろう?


黒い毛に白が混じると目立つから。
そこだけ「違う」から。


黒い髪に白髪があると、それだけが「異色」に思える。
本来黒いところに白がある。
黒が「正しくて」白が「正しくない」姿。
そう思ってしまう。
でも、果たしてそうなんだろうか。


バラバラと混じっていると、なんだか見苦しい。
これが、全ての髪が白かったら、白いことなんて気にならない。
むしろ白が「正しい姿」のようになる。


このことって、最近話題の「髪を染めさせられる」問題や、個性や差別や、そういうことと、関連しているのでは??


白髪だって、髪である。
他の髪と色は違うけど、機能として劣っているわけではない。
別に存在していていいはずである。
なのに。
わたしは抜いてしまう。


もっと増えたら、染めるんだろうか。
そしてもっともっと増えたら、「髪の毛は白い」ということを、当然として受け入れるんだろうか。


いっそ赤くしてしまえばいい、とか、その枠から逸れようとしてしまうのが、わたしだ。
白でもない黒でもない、別の色に答えを求める。
それは解決法なのか逃げなのか。


カラフルなのは好きだけど、規則性や統一感のない、無造作な色の羅列は苦手だ。
グラデーションがきちんと綺麗に並んでいると、妙に落ち着く(むしろテンションが上がる)。
とはいえ、自然の風景にあるバラバラとした色は、そんなに気にならない。
落葉の自然なグラデーションなんて、人には真似できない美しさを持っている。


だけど。
わたしはやっぱり黒髪に混じる白髪を抜いてしまう。
それは自然な姿のはずなのに。
なぜなんだろう。
それは例えば、白いブラウスについたシミのように見えるからなんだろうか。
でも、ただ排除したいだけでもない、変な感じだ。
抜いた後にしばらく鑑賞して、おおーーー、こんな真っ白な髪が生えるのかーー、と、ちょっとテンションが上がるのが、楽しみでもあるのだ。


謎だ。
本当にどうでもいいことなんだけど。


わたしはなぜ白髪を抜くのか。
やっぱりまだわからない。