「根拠のない自信」という表現があるけれど、幸福感にも根拠なんてないんじゃないか、と、近所のスーパーに向かいながらふと思った。
幸福って、何かに基づいたものではないから、「わたしが幸福だと思うのは○○があるからだ」とかいう確固たる定義があるものではなくて、幸福だと思えるかどうか、つまり捉え方であり心の有り様であると思う。
ふと湧いてくる幸福感。
それは何気ない日常の、ふとした瞬間に訪れる、ふわっとした感覚。
置かれている状況がどうであっても、心の中から湧いてくるもの。
理由なんていらない。
ただ「幸せだな」と思って微笑む。
パートナーはまだいないけど、失業中だけど、住んでいるのはアパートだし、車もない(そもそも免許もない)けど、なんか幸せ。
以前、セラピストスクールで哲学の話をしていたとき、先生に「どんなときに幸せを感じますか?」と訊かれて、「帰り道の夜空に星が輝いているのを見つけたとき、なんか幸せだなって思います」と答えたら、その感性を褒められたことがあった。
夜空の星を見ると、豊かな気持ちになる。
それは「所有」ではない豊かさで、絶え間なく降り注いでいる光をエネルギーを感じたときに得られるもので、わたしはいつも、「そうだった、こうやって太陽も星も、その他の天体も、ずっと光やエネルギーを届けてくれているんだった」と思い出して、ずっと見守られているという感覚になって、幸せを感じる。
それは普遍のもので、状況にも所有物にも左右されず、ただ常にそこにある。
それを感じることで、得られるもの。
それが幸福感だと思う。
根拠がなくても揺らがないもの。
その存在に気づくことができたら、もう失うことはないし、離れることもないんだと思う。