ただ祈る

ここ数日で印象的なことがあった。

 

 

夜、近所から男性の怒号が聞こえてきた。

結構長かった。

途中、言い返している声も聞こえたんだけど、性別ははっきりしなかった。

内容があまりわからないものの、声の大きさや言い方などから、男性が押さえつけようとしている雰囲気が伝わってくる。

そして「お父さんが」と言ったので、子供との喧嘩なんだろうと推測。

窓を閉めてもしばらく聞こえていた。

 

他人の家のこととはいえ、誰か止める人はいないんだろうか・・・とか、いろいろ考えてしまった。

同時に、わたしが親子ゲンカをしていたときも、こんな風に周りに聞こえていたんだろうか、とも思った。

わたしの場合は父親ではなかったから、ちょっと違う感じだったのかな、とか。

 

母を矯正しようとして父がやっていた夫婦喧嘩も、それじゃあうまくいかないんだよね・・・と客観的に思っていたのは、やっぱり「男性が押さえつけようとする」というパワーバランスの歪みがあるからなんじゃないかと、その頃から思っていた。

男性という圧倒的に力も権力も優位な存在から怒鳴られたら、女性はヒステリックに反応するか虐げられるかしか選択肢がない。

だから、元々は母の問題だけど、父のやり方もちょっと・・・と思っていた。

 

でも昭和なあの頃は、それがある意味定番で、女性は男性がコントロールすべきものという考え方が一般的だったんだろうな、と思う。

だから元々はそんなタイプでもない父が、それが正しい方法なんだという風潮に押されて、ちょっと無理をしてやっていたんじゃないかな。

事実、父はわたしの意見を基本的には尊重してくれたし、何かを無理強いしたりしなかったし、周りが女の子は4年制大学なんか行かなくてもいいと言っていても、兄たちと同じように行かせてあげたいと言って、最終的にはそこで父親の権限をわたしのために発揮してくれた。

 

だから、わたし自身は父親からの怒号を受けたことがない。

 

 

自分に言われていなくても、その波動を受けるだけで辛い。

関係ない人だけど、間に入って止めたいくらいの気分になる。

 

 

そして今朝のこと。

外から女性がわめく声がしていて、これまた結構激しかった。

声に耳を澄ましてみると、叫んでいる女性、何かを説明している男性、中に入るよう説得?している男性の声がする。

その説得系で話している人が、どうも、なだめているというより「指導している」ような感じがあって、いやそれでは収まらないんじゃ・・・と気になり、玄関のドアを開けて見てみた。

 

座り込んで泣き叫んでいる女性、夫らしき男性、中年くらいの男性警官2名。

 

声だけだともう少し若い女性(もしくは子供)のようなイメージだったけど、わたしより少し上の世代の人だった。

彼女は、わたしがここに住んでいるから悪いんです、ごめんなさい、ごめんなさい、と泣き叫んでいた。

横にいる夫らしき人は、何かを発端にだんだんと状況が悪化していったんです、というような内容の話をしていた。

 

酸欠を起こしてしまうんじゃないか、とか心配になるくらいに叫んでいて、それもあったのかなかったのか、しばらくしたら救急車が来た。

でも乗っていく気配はなく、しばらくちょっと静かになったり、また叫んだりを繰り返していて、そのうちまた静かになった。

彼女は病院には行ったのかな。

とりあえず気が落ち着くといいんだけど。

 

 

あんなになるまでに追い詰められた原因はなんなんだろうと思う。

必死で謝りながら泣き叫んでいた彼女は、何に苦しんでいたんだろう。

 

男性警官の言葉や態度が、ただその場を収めようとしているに過ぎなくて、理解するとか寄り添うとか、そういうことには程遠くて、彼女に対応すべきなのは男性警官じゃないよ、と強く思った。

「みっともないから」とか言っていたし、腕を引っ張って無理やり立たせようとしていた。

 

そうじゃない。

手を握ってあげるとか、肩を抱いてあげるとか、そっちだよね。

 

「やっかいもの」としか捉えてないんだろうな、と感じた。

 

わたしが側に行ってあげたいくらいだった。

子供のように泣いているその声が、本当に必死で、もらい泣きしてしまった。

 

本当に辛いんだろうな。

 

 

わたしはただ祈るしかなかった。

 

誰か寄り添ってくれる人が彼女の元に現れますように。

神のご加護がありますように。

あの苦しみから抜け出せられますように。

 

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