どんぐりの存在価値比べ

ときどき、人間じゃないものになりたくなる。

植物になりたいとか、蝶になりたいとか、なんなら流れる川の水でもいい。

そういう、誰の目にも留まらないような存在になりたいと思う。

 

人間として生まれてきたからには何かを成し遂げないといけないような気分になる。

女として生まれてきたからには子供を産まないといけないような気分になるのと同じように。

 

そして自分が何か欠落しているように感じる。

何者でもない自分が、なんだか恥ずかしいような、ちっぽけでつまらない存在のように感じられる。

まるで急に小さな生き物になったような。

 

足元に無造作に落ちているどんぐりがやたら可愛くて、クリクリと丸くて艶があって、そんなどんぐりになりたいと思う。

 

どんぐりなら、存在意義を問われない。

どれくらいの確率で芽を出して木になるのかわからないけど、それでもあのたくさんのどんぐりの中から木として育つものが出てくればいいし、その他大勢は芽を出さなくても責任を追及されたりしない。

 

わたしもそれくらいに思ってもらえないだろうか。

芽を出す可能性の1つとして、扱ってもらえないだろうか。

木にならなくても、そういうものだよね、と言って流してもらえないだろうか。

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